【2DCADユーザー必読】3DCADで設計業務が劇的に捗る5つの理由(メリット・デメリットを解説)

設計業務・とりわけ作図を行う手段として、手書きのドラフターを使っていた時代から、2次元CAD(2DCAD)が導入され、今や3次元CAD(3DCAD)が主流になってきています。

ですが、まだまだ2DCADを主に使用している設計者の方も多くおられるのではないでしょうか。

「現状、2DCADで業務を十分賄えているので、3DCADは不要だ」とおっしゃる方もおられるかと思います。

 

しかし、それはもったいないです。

なぜなら、3DCADを導入することで設計業務が劇的に改善されるからです。

 

私はこれまでに、2DCADと3DCADの両方を使って設計を行ってきた機械系エンジニアです。

両方の便利な点もイマイチな点も沢山味わってきました。

 

本記事では、2DCADと3DCADを使ってきた筆者が、3DCADを導入すると、どんないいことがあるのか、3DCADの魅力についてお伝えいたします。

それぞれのメリット・デメリットを理解することで、図面作成の場面において、適切なCADを選択することができます。

特に、2DCADだけを使用されている設計者の方は、ぜひ最後までお読みください。

 

2次元CADと3次元CADの違い

2DCADと3DCADの一番の違いは、2次元CADは平面図上に線を引いて設計を行いますが、3次元CADは仮想空間内で立体のモデルを作成して設計を行うという点です。

 

2DCADでは、正面図、平面図、側面図などの2次元図面から、部品の形状や構造を頭の中で想像し、それをまた2次元図面に落とし込むという作業を行います。

設計時や図面作成時には、頭の中で部品や構造を想像しながら作業を進めます。

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2次元図面から3次元形状を正確に把握するには、ある程度の訓練が必要です。

 

しかし、3DCADでは、部品の形状や構造を実際の部品のように、立体のモデルで作成します。

図面を作成する際は、3Dモデルを基に、2次元図面を作成していきます。 

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3DCADでも2次元図面を作成することができますが、その前に3Dモデルを作成する必要があります。

 

この点が、2DCADと3DCADの一番異なる点です。

 

3DCADのメリット・デメリット

3DCADを導入することによるメリット・デメリットは以下の通りです。

 

3DCADのメリット
  • 視覚的にわかりやすい
  • 複雑形状の部品を作れる
  • そもそも図面を描かなくていいので作図ミスが起きない
  • 設計補助ツールが充実していて複雑な計算なども自動でしてくれる
  • 設計が楽しくなる

 

3DCADのデメリット
  • 高スペックのPCが必要になる
  • 操作感が2DCADと全く違うので慣れるまでに時間がかかる
  • 図面と3Dモデルの両方を管理する必要がある
  • 作業者によってモデリング手順が変わるので、修正する際に変更箇所がわかりにくいことがある
  • そもそも3DCADソフト自体が高額

  

3DCADのメリット

3次元CADを使うことで得られる5つのメリットについて詳しく解説します。

 

視覚的にわかりやすい

3DCADは2DCADに比べて、視覚的にわかりやすいです。

2DCADだと、図面(正面図、平面図、側面図など)から頭の中で立体を想像しながら、干渉がないか・この隙間はこれでいいかなどを検討しなければいけません。

簡単な部品や、部品点数の少ないアセンブリなら簡単かと思いますが、複雑な形状・部品がごちゃごちゃした図面だと、かなりの想像力とスキルが必要になります。

 

その点、3DCADは、立体モデルを作成して組み上げているので、想像力や特別なスキルはそこまで必要ありません

3Dモデリングは仮想空間で試作を作っているような感覚です。

ですので、組立作業性や作業者の動線なども3DCAD上で容易に検討することができますし、干渉しているかどうかも一目でわかります。

その結果、設計ミスを見つけやすく、ミスを未然に防ぐことができるため、手戻り作業を減らすことができます。

設計時のミスが減ることで、不具合発生時の対応に追われることも少なくなります。

sugitama

現場からドヤされて、胃の痛い思いをすることも少なくなります(笑)

 

さらには、客先への説明資料やカタログなどにも流用が簡単です。

レンダリングという、3Dモデルの表面の色や質感を変化させる加工を用いることで、写真さながらの画像データを作成することもできます。

 

複雑な形状の部品を作れる

3DCADでは、複雑曲面の部品なども容易に設計することができます。

なめらかな流線型のような形状であっても、3DCADのサーフェスモデリング機能を使えば、3Dモデルを作成することができます。

2次元図面では描ききれないような複雑な形状であっても、3Dモデルさえ作成できれば、そのままCAMで加工することもできます。

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サーフェスモデリングは少し難しいですが、慣れれば設計の幅が広がります。

 

図面を書かなくてもいいので作図ミスが起きない

2DCADだと、形状が崩壊している図を描いてしまうこともあります。

(例えば、平面図と側面図で矛盾した形状なども描けてしまいます)

 

3DCADでは、3Dモデルを正として図面を自動で作成できます。

正面図や平面図などの図面は描かずに配置するだけで作図できてしまいます。

そのため、3Dモデルが間違ってさえいなければ、作図ミスが起きないようになっています。

図面に変なところがある場合は、3Dモデルの段階で間違っていることが多いです。

 

そもそも、自動で図面を描いてくれるため、線自体を描くことがほぼありません。

自動で陰線処理してくれますし、任意の場所で切断線を引いて自動で断面図を作ることもできます。

 

ライブラリが充実してくると、アレンジ設計などの場合、3Dモデルが完成すれば図面も完成している、なんてこともあります。

そうなると、さらに図面を描かずに済みます。

 

また、もう一歩進んだ管理をするならば、MBD(Model Based Development:モデルベース開発)というものもあります。

MBDを導入すると、3Dモデルに寸法や幾何公差などを書き込むため、図面自体が不要になります。

sugitama

面倒な断面図なども描かなくてよくなるのは嬉しいです。

 

設計補助ツールが充実している

3DCADは、設計する上で必要となる数値を自動で計算してくれます。

例えば、重量、重心、慣性モーメントなどは、3Dモデルを作成すれば、自動で計算してくれます。

また、構造解析干渉確認ツールなどもあります。

これらは自動とはいきませんが、3Dモデリングの延長線上でできるため、大きな手間や時間をかけずとも、構造解析や干渉確認を行うことができます。

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設計に必要な情報が自動で得られるので、とても便利です。

 

設計が楽しくなる

3DCADをオススメする上で、一番お伝えしたいのが、「3Dでの設計は楽しい」ということです。

3DCAD上で、部品やアセンブリを作っていく工程が何より楽しいです。

sugitama

これまで筆者が関わってきた方の中で、「3DCADを使うようになって設計が楽しくなった!」 という方を多く目にします。

 

設計者が、自分自身で機械加工や板金加工をしているかのような感覚で、部品の設計(モデリング)ができます。

プラモデルを組立てていくような感覚で、アセンブリの設計ができます。

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組み上がっていくアセンブリや、出来上がっていく複雑な部品を見ると、テンションが上がりますし、モデリングそのものが楽しくなります。

 

3DCADのデメリット

3次元CAD導入にはデメリットもあります。ここでは、主な4つを紹介します。

 

高いスペックのPCが必要になる

3DCADを導入するには、高スペックのPCが必要になります。

3DCADを快適に使用するには、クロック数の高いCPU、大容量のメモリ、高性能なグラフィックボードが必須となります。

扱う3Dモデルによって求められるスペックは異なりますが、2DCADで使用するPCよりも高い処理性能が必要になります。

sugitama

高スペックのPCは、購入価格が高いのがボトルネックです。

 

2DCADと操作が全く違う

2DCADと3DCADは設計方法が全く異なります。

2DCADは、基本的には寸法を決めて、線を引くという手順になります。(オフセットで線を引いていきます)

一方、3DCADで線を引く場合、基本的には適当にスケッチ線を引き、その線に寸法や拘束条件を追加するという手順になります。

さらに、スケッチからフィーチャーで3D形状にしていく作業は、2DCADにはないものです。

 

この違いに慣れてしまえば、3DCADの描き方の便利さを実感するのですが、慣れるまでは違和感を覚える方もおられると思います。

2DCADユーザーが3DCADの操作に慣れるには、ある程度の時間やトレーニングが必要となります。

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3DCAD操作のトレーニングの一助として、チュートリアルプログラムもありますし、解説してくれるYoutube動画なども豊富です。

うまく活用できれば、上達も早いです。

 

図面と3Dモデルの両方を管理する必要がある

3DCADでは、3Dモデルを基に図面を作成します。ですので、図面と3Dモデルの両方のデータを管理する必要があります。

仮に、作成した図面の形状を変更したい場合は、まずは3Dモデルの形状を修正し、その後で図面を修正するという流れになります。

2DCADでは図面の修正だけで済みますが、3DCADでは図面と3Dモデルの両方を修正する必要があります。

sugitama

慣れてしまえば苦ではありませんが、はじめのうちは混乱するかもしれません。

 

作業者によってモデリング手順が変わるので、修正する際に変更箇所がわかりにくいことがある

3DCADでは、フィーチャーの作成手順が履歴として明確に保存されます。

最終的には同一形状になる3Dモデルであっても、フィーチャーの作成手順が異なる場合もあります。

基本的には、機械で加工するような手順でフィーチャーを構築することが望ましいですが、実際の加工手順がわかっていない場合、めちゃくちゃな手順でモデリングされてしまうことになります。

作成者の力量によっては、作成者以外がその3Dモデルを修正・変更するときに、わかりにくいといった問題が出てきます。

sugitama

モデルのどのフィーチャーのどの寸法を変更すればいいのか、探すのに時間を取られてしまうこともあります。

※フィーチャーの履歴が残らない3DCADソフトもあります。 

 

そもそも3DCADソフト自体が高額

2DCADに比べて3DCADは、ソフトウェアの価格的にも高価である場合が多いです。

これは、3D処理の機能開発コストが3DCADソフトウェアの販売価格に含まれるためです。

 

3DCADソフトの中には、無料で使用できるものもあります。

しかし、事業として3DCADを導入する場合は、有料のCADソフトを使用する方が良いでしょう。

 

どの3DCADソフトを選べば良いかわからないという方は、こちらの記事を参考にしてみてください。

 

また、SOLIDWORKSを使用するのであれば、商用利用はできませんが、格安で使用できる「SOLIDWORKS for Makers」という製品もあります。

商用利用できる製品と全く同じ機能を、年間8,000円で使用できるコスパ最強の製品です。

本格導入の前に使用感を確認したいという場合にも、低価格で試せますのでオススメです。

こちらの記事で詳しく解説していますので、よろしければ参考にしてみてください。

 

補足:2DCADを選択した方がいい場面

設計を行う中で、2DCADの方が優れている場面もあります。

それは、回路図作成などの場面です。

 

2DCADは、言わば線を描くことに特化したCADです。

3Dモデルが不要な図面であれば、2DCADで作成した方が、簡単でスピーディーに作業できるかと思います。

回路図、配線図、系統図など、記号と線だけで作成できる図面の場合は、2DCADを選択するのもアリだと思います。

 

まとめ

本記事では、3DCADのメリット・デメリットについて解説いたしました。

コスト面でのデメリットはありますが、それを十分に補うだけのメリットはあると考えます。

sugitama

3DCADを導入することで、2DCADに比べて設計がめちゃくちゃ楽しくなりますし、手戻り作業を大幅に減らせます

計算や他の雑務に時間を取られないので、設計業務に注力できます。

不具合発生頻度が減るので、不具合時の嫌なストレスを削減できて健康になります(笑)

 

また、設計業務の中には、2DCADの使用が適した場面もあります。

ですので、状況に応じて、アウトプットに応じて適切なCADを選択するといいでしょう。

 

ですが、こと構想設計については、3DCADの導入をオススメします。

始めは無料のCADソフトでのお試しでも良いので、その便利さをぜひ一度味わってみてください。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

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